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ホーム > 刊行物 > 地磁気観測所テクニカルレポート > 第8巻 第1,2号 >土壌掘削による磁気異常とその経年的安定性 - 鹿屋の絶対観測室内の磁気異常調査から -

地磁気観測所テクニカルレポート, 第8巻, 第1,2号, pp. 1-10, 2011年3月


土壌掘削による磁気異常とその経年的安定性 - 鹿屋の絶対観測室内の磁気異常調査から -


山崎 明、重野 伸明、山本 輝明、熊谷 佳子、伊藤 信和


要旨

 鹿屋の絶対観測室は1995年に新しく建設された.この絶対観測室の建設後に室内の全磁力分布を測定した結果,室内全体に拡がる振幅が20nT程度の磁気異常があることがわかった.建設前の測量では建設予定地にそのような磁気異常は存在しなかったことから,磁気異常は絶対観測室の建設によって発生したことになる.この磁気異常は器械台設置のための土壌の掘削によってできたものと考え,掘削モデルによる磁気異常の計算で確かめたところ観測値をよく説明でき,土壌掘削によって形成されたことが確認できた.また,掘削モデルから室内の地磁気3成分の磁気分布を推定した. 次に土壌掘削によって生じた磁気異常が経年的に安定であるかどうかについて調べた.1995年から2004年までの絶対観測室の全磁力と鹿屋構内の全磁力連続観測点(80F)および祓川構外比較観測点(HRG)との比較から,絶対観測室の全磁力は異常な変化をおこしていないことが確認できた.また,2004年と2005年に実施した再測量の結果から,絶対観測室の磁気異常は10年程度の時間内でほぼ安定していることが確認できた.これは掘削と埋め戻しにより消磁された土壌磁化が経年的に安定であることを意味し,鹿屋の例では掘削によって絶対観測室内に生じた磁気異常は観測上あまり問題とはならなかった.

2010年8月30日受付, 2010年9月28日改訂, 2010年10月6日受理




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