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地磁気観測所では大正2年(1913年)に柿岡で観測を開始して以来、長年にわたって地球磁場の変化を観測し続けている。
現在はデジタル方式でのデータ収録が行われているが、1990年代までは、ブロマイド紙と呼ばれる写真感光紙に観測値を印画するアナログ方式で記録が行われていた。これらの数十年間に及ぶ観測の成果は、膨大な写真記録として現在も大切に保管されている。
この写真に描かれたグラフ状の記録(図1)は、これまで手作業で読み取られ、毎時値(1時間毎の値)が算出されてきた。本調査では、より応用範囲が広く利用価値が高い、毎分値(1分毎の値)を算出するため、過去の写真記録を高精度な毎分値に変換するための手法開発に取り組んだ。
平成20年度(2008年度)の調査・開発では、画像の歪み補正・高精度自動読み取り・数値化・感度補正・絶対値化といった一連のデジタル化処理を行うプログラムを試作した。また、試作したプログラムの変換処理精度を確認するため、デジタル収録への移行期の記録を用いた調査を行った。デジタル収録への移行期には写真によるアナログ収録と並行して別の磁力計によるデジタル収録も行われていたので、写真記録からデジタル化した値と、同時刻に観測されたデジタル毎分値とを比較できるためである。
デジタル収録への移行期である1976年の写真記録について、今回開発した手法を適用してデジタル毎分値への変換を行った(図2)。同時刻に並行して観測されたデジタル毎分値と比較したところ、ほぼ等しい結果が得られていることが確認できた(図3)。
より高度な補正処理を加えることで高精度なデジタル毎分値を求められることが示唆されたので、引き続き、過去のアナログ記録を利用価値の高いデータに変換するために調査・開発を進めたい。