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伊豆半島東部の伊東市御石ケ沢付近(図1)では、地磁気全磁力値(全磁力)の異常減少が観測されてきた。この全磁力異常減少と伊豆半島東方沖で発生する群発地震の間には、何らかの関係の存在が示唆されている。地殻などを構成する岩石には、磁鉄鉱などの磁気を持つ鉱物が含まれており、磁気の強さは外部から加わる力によって変化するからである。
本研究は、御石ケ沢付近の狭い範囲に観測点を集中して配置することで、全磁力の異常減少と地殻活動等との関係を解明することを目的としており、1999年から全磁力連続観測及び全磁力繰り返し観測を、2006年から自然電位測定を行っている。
これまでの全磁力繰り返し観測の結果をみると、柿岡を基準として減少傾向が継続していた全磁力は、2008年頃から北側の観測点で増加傾向となっている(図2)。また、2006年、2007年、2008年の自然電位観測からこの地域の自然電位分布を明らかにした(図3)。自然電位分布は、図3に点線の楕円で示した御石ケ沢付近を境界に、北側は標高とともに負の変化、南側では標高とともに正の変化を示して分布が異なっており、2008年の全磁力繰り返し観測結果に見られる御石ケ沢の北側での増加傾向、南側で減少傾向の継続と何らかの関係があるのかもしれない。今後、全磁力変化、自然電位分布および周辺の地震活動等との関係についての解明を目指したい。