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研究代表者:外谷 健
本調査は、1924〜1947年の地磁気データ(水平成分)について、「過去の観測データ品質に関わる基本的な調査」(平成19年度のトピックス)の結果を受けたもので、毎日基線値の算出過程の検討と修正毎時値の算出およびその品質改善の評価を行った。
前回算出された平滑化基線値を用いた結果、データ品質の改善が期待されたほど見られなかった。 これは変化計が不規則に不安定となることが多く、このような時は基線値の平滑化は不適当であると考えられたので、 今回は絶対観測間を比例配分して毎時の基線値まで求め、時間単位でギャップ補正して毎時値を再計算した(修正毎時値)。 この修正毎時値のデータ品質を確認するため、次の3点から月毎に品質評価を行った。(図1 (a),(b),(c)) 1.修正毎時値とホノルル(米)の毎時値について、日平均値差の月毎の標準偏差を比較し、1.5倍以上となった月。 2.絶対観測、変化観測とも安定していれば観測基線値の変動も小さいことから、基線値の前後差が大きい月(25nT以上)。 3.修正毎時値と年報値との比較プロット図で変化が不自然でないかを観測者の目により判断し、再検討を必要とした月。
上記の評価の全てで評価が良くなかったのは、特に1924年と1932年の一部で、原因は前者は絶対観測結果、 後者は変化計不安定(新室での変化観測開始時)によるもので、両者とも元のデータが悪いため改善は困難であると判断される。 また、1946年も全てで評価が良くない。 これは観測基線値が大きくふらついていることから、今回の算出方法ではそのまま反映されたためである。 このふらつきを生じさせた要因は、絶対観測の原簿に遡って精査する必要がある。 今回の修正毎時値から年値への影響(永年変化)を見ると、不自然な永年変化をしていた1931年が改善されている(図2)。 目立つ1946年については、まだ改善の余地があると考えている。 本調査により、対象の全期間を統一した処理方法で毎時値を算出したこと、 また年報値の印刷ミスのような単純ミス(1246個)を全て修正したことなど、基本的にはかなりの品質改善がなされているものと考えられる。