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研究代表者:源 泰拓
南極・昭和基地でも地磁気が観測されています。フラックスゲート磁力計による地磁気3成分(X,Y,Z成分)の連続観測に加えて、 月に一度、地磁気絶対観測が行われ、データは極地研究所に集約されています。
連続観測のデータには、自然の地磁気変化に加えて、計測器を設置している地盤の傾斜変動、測器特性の経年変化、 人工的な擾乱などによる見かけの変動が含まれています。絶対観測はこのような変動を補正し、真の地磁気の値を抽出するために必要とされるものです。 しかし、これまでのところ昭和基地の観測データには、地磁気絶対観測による観測値が連続観測のデータに反映されていません。
まず、昭和基地における地磁気絶対観測の状況を把握するため、1997年から2011年に得られた観測値から異常値を排除するため統計的な調査を行いました。 図は昭和基地における絶対観測データの変動を示します。地磁気観測所(柿岡)等で行われる観測結果とくらべて、非常に大きな変動が見られます。
図 昭和基地における地磁気絶対観測値・水平成分の変動(1997−2011年) ○:観測値、★:採用値(観測値の平均)、●:今回の解析で異常と判断した観測値
調査の結果、観測データベースから客観的に異常値を検出することができました。また、観測時の機器の異常値を修正できることが判りました。
今年度の調査結果は、平成23年9月4日から5日にかけて開催された、The 1st ICSU World Data System Conference - Global Data for Global Science -と、 11月14日から16日にかけて開催された極域科学シンポジウムで発表しました。
今後は、昭和基地における地磁気観測データの評価をさらに進めて、データ処理の手順を確立し、データセットの価値向上に資することをめざします。