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平成24年度調査研究のトピックス(8)

大気電場観測データを用いたグローバルサーキットの研究

研究代表者:源 泰拓

れわれが活動する地上付近の大気には、上がプラス、下がマイナスの1メートルあたり100Vくらいの電圧がかかっています。これを大気電場といい、この大気電場は、全地球上の雷活動を“発電機”とする、電離層と地球表面とを結ぶ地球規模の電気回路(グローバルサーキット)によって維持されていると考えられています。
    http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/ae_bg.html

本研究課題では、地磁気観測所と昭和基地の2点について、グローバルサーキットの調査に向けた調査を行いました。

1. 地磁気観測所(茨城県石岡市)

地磁気観測所では1929年から80年以上にわたって、大気電場の観測が続けられています。大気電場の観測値には、降雨、雲など大気の状態が大きく影響します。とくに雲は電離層と地球表面とを結ぶ電気回路に蓋をしてしまうので、大気電場の観測値に大きな影響を及ぼします。しかし、地磁気観測所では雲の観測は行われていません。本研究では、地磁気観測所構内に全天カメラを設置し、一時間ごとにインターバル撮影を行い、雲の影響のない時間帯を抽出しました。ただし、カメラの性能の限界で、夜間の雲は撮影できません(図1)。

 
図1 図2

図1 2012年9月13日 日本時間05時(左)と09時(右)の全天画像


こうして得られた雲の情報を、地磁気観測所から約20kmの茨城空港(茨城県小美玉市)における気象観測記録と照合してみました。茨城空港の雲の記録が地磁気観測所の雲とほぼ同じであれば、空港のデータを大気電気の解析に用いることができるかもしれない、と期待していたのですが、8月から12月まで、1420時間の事例を調査したところ、茨城空港で晴れ(正確には、雲量が最下層で1/8以下)と記録されているとき、地磁気観測所で快晴だったのは約40%にとどまりました。残念ながら茨城空港のデータをそのまま地磁気観測所の雲の状態を示すものとして扱うことができないことがわかりましたが、地磁気観測所での雲の記録は継続しています。今後はこの雲データを用いた電場の解析を目指します。

2. 昭和基地(南極・東オングル島)

昭和基地の大気電場観測については、すでに気象条件との比較が行われていて、雲量が0または0+で、かつ風速6m/sec以下であればグローバルサーキットを解析するために利用できる、という条件が導かれています。その時間帯のなかで、地磁気活動が活発な時間をさらに検証し、高エネルギーのオーロラ粒子が南極域に降り込んだときの大気電場の変動を調査しました。図2に例を示します。地磁気、Cosmic Noise Absorption:CNAと大気電場観測値の変動を比較しています。CNAとは、銀河電波が地球の電離層によって吸収される現象で、高エネルギー電子の電離層への降下に伴って発生することが知られています。磁場とCNAの変動が良い対応を見せているのに対し、大気電場は磁気嵐の開始に2~3時間程度先行して変動しているように見えます。今回の解析に用いた大気電場データの観測器は、2010年8月に故障して観測を取りやめています。一方、2010年3月から、別の装置による観測が開始され、現在も続いています。この2種類のデータを比較して大きな違いがないことを確認した上で、2010年9月以降の大気電場について調べたいと考えています。太陽活動は2010年後半以降、活発になったとされているので、磁場擾乱時の事例を加えることが期待されます。


図2

図2 2007年9月6日12:00-23:59 の事例 プロットは上から順に地磁気X成分、大気電場、CNA、風速を示す。大気電場は毎秒値、そのほかは毎分値。時刻は世界標準時。




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