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平成25年度調査研究のトピックス(1)

地磁気現象検出の迅速化と地磁気現象に関する情報活用に関わる調査

研究代表者:大川 隆志

太陽風のエネルギー変動と磁気圏や電離圏の擾乱過程は非常に密接な関係があり、太陽フレア(太陽面爆発現象)に伴って磁気嵐が発生しているときは、高エネルギー粒子による人工衛星の機器回路の故障やデリンジャー現象として知られる短波通信障害、急峻な磁場変化に伴う誘導電流による機器障害、航空機乗務員の被曝線量増加などが起きることがあります。GPS等の人工衛星を利用した機器が私達の生活に浸透しており、磁気嵐などの地磁気現象が日常生活にも影響を及ぼすことが懸念されます。それらを背景に本調査は、地磁気現象を迅速に適正にかつ検出する手法を構築し、地磁気活動状況の把握及びそれらの情報を速やかに提供することを目標としています。ここでは今年度実施した調査のうち、公開用アプリケーションについて紹介します。

現在、ホームページでは一日前(世界時)の地磁気活動状況を掲載していますが、リアルタイムでの状況はプロット図での提供のみです。本調査では地磁気の活動状況(乱れ具合)を「静か(K指数*0〜2程度)」「やや乱れている(K指数3〜4程度)」「乱れている(K指数5以上)」の3段階程度での表現を想定し、1時間ごとに簡便に判定することを試みました。地磁気の静穏な日の日変化は、毎正時の値を直線で結んだ折れ線で表現しても乱れの度合いはほぼ正しく判定できます。しかし、例えば磁気嵐の最中などは毎正時で結んでしまうとじょう乱の変化に引きずられて正しい静穏な日変化を得ることができません(図1)。


図1

図1 磁気嵐の水平成分の変化例
         赤線は毎正時の値を結んだ折れ線
         緑線は折れ線の傾きに制限を加えた線


そこで過去の静穏な日を選び、各月、各時間ごとに取り得た折れ線の傾きの最大値と最小値を調査し、折れ線の傾きに制限を加えました。2008年から2012年の5年間について、この簡便法を用いて算出したK指数と確定しているK指数の比較を行ったところ、その差が3を超える事例はなく、地磁気の乱れ具合を3段階にわけて概ね良好に表現できました。

    

図2に過去2日間の地磁気の変化と前月の平均的な静穏日変化との差をグラフ化したもの、及び簡便法を用いて算出したK指数表の例を示します。

図2

図2 地磁気乱れ具合とK指数(簡便法)


    

ホームページでは図3のように現在の活動状況をひと目でわかるように、表情や色に変化を持たせたマークで表現することを考えています。

図3

図3 ホームページでの地磁気の状態の表現

*K指数:地磁気は静穏な日でも昼側の電離層が暖められて生じる風で荷電粒子が動き、それに伴う地磁気の日周変化が見られます。K指数はこのような地磁気の静穏な日変化を除いたじょう乱の程度を3時間毎(1日8区間)に0〜9の10段階で表すもの。



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