ナビゲーションスキップ用画像

ナビゲーションをスキップ

 
 
ホーム > 調査研究 > トピックス > 地磁気現象検出の高度化と地磁気現象に関する情報活用に関わる調査

平成26年度調査研究のトピックス(1)

地磁気現象検出の高度化と地磁気現象に関する情報活用に関わる調査

研究代表者:大川 隆志

GPS等人工衛星を利用した機器の利用が生活に浸透しており、急峻な磁場変化に伴う誘導電流による機器障害など、磁気嵐などの地磁気現象が日常生活にも影響を及ぼすことが懸念されています。本調査は、それらの影響に対する対応の一助とするために、検出能力や地磁気現象カタログの品質向上とともに地磁気活動状況を活用しやすい形で速やかに提供していくなど利用価値を高めることを目標としています。ここでは、平成26年度に実施した調査のうち、Webによる情報提供と脈動現象の自動検出に関する検討について紹介します。

@ Webによる情報提供について

平成25年度までの調査で、人手を介さずにK指数*の速報値を算出する手法を開発し、過去5年間分の確定値との比較を行って地磁気の乱れ具合を概ね良好に表現できることを確認しました。平成26年度は、Web公開に向けてさらに2014年1月から5月までのデータについて独立に追調査を実施し、5年間の結果と同様の成績であることを確認して、2014年6月末から「過去3時間内の地磁気活動」速報を一般に公開し1時間ごとの更新を開始しました。また、地磁気現象データベースの改良では、「>600nT」のような不等号付きのデータを含めた振幅でのソート検索や、磁気嵐の急始部(ssc)と後ろに磁気嵐を伴わない急峻な変化現象(si)が混在した期間の時系列でのソート検索を可能にし、現象の顕著さを表すクラス(A,B,C)による選択肢を従来の「A+B+C、A、B、C、」から「A+B+C、A+B、A、B」に変更、さらに連続型の脈動現象(pc)と不規則型の脈動現象(pi)の検索機能を追加するなど、利便性を向上させました。

*K指数:地磁気は静穏な日でも昼側の電離層が暖められて生じる風で荷電粒子が動き、それに伴う地磁気の日周変化が見られます。K指数はこのような地磁気の静穏な日変化を除いたじょう乱の程度を3時間毎(1日8区間)に0〜9の10段階で表すものです。

A 脈動現象の自動検出について

地磁気脈動には、太陽風との関係で磁気境界面に端を発するものや、オーロラ活動に伴う磁力線の振動などがあります。これら地磁気脈動現象の読取り作業の効率化のため、自動検出に関する検討を行いました。ウェーブレット変換による多重解像度解析を用い、地磁気1秒値データから不規則脈動(pi)に関係する周期成分を分離抽出し、周期と最大変化量の算出を試みました(図1)。2012年について確定値と自動検出値との比較を行った結果、良い対応を示しましたが、今回は1時間内でのピークで検出を行ったので、検出率は7割程度にとどまっています(図2)。また、現象の発現と終了の時刻については、小さな変化のため特定するのが難しく、今後は、現象の期間を指定するなどの対話型による読取り作業方法の検討も進めていく予定です。


図1

図1 女満別のpi2の検出事例(2012年4月5日 08時10分 - 09時10分UTC)



図2

図2  pi2の自検出値と従来の読取りによる確定値の比較(2012年)




このページのトップへ