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平成28年度調査研究のトピックス(2)

地磁気絶対観測の自動計測試作器の試験及び評価

研究代表者:熊坂 信之

地磁気観測は、ある時刻の地磁気の絶対値を観測する絶対観測と、連続的に地磁気の変化の値を観測する変化観測から成ります。変化観測はフラックスゲート磁力計などで行いますが、温度変化や検出器の傾斜変動などの影響を受けるため、定期的に絶対観測を行い、求められた絶対値を用いて変化観測値の校正を行う必要があります。

地磁気観測所(柿岡)の絶対観測の精度は世界的にも高く評価されていますが、自動化されている変化観測と異なり、絶対観測は週に1回程度の頻度で観測装置を手動で操作して行っており、柿岡ではDI-72型角度測定器(写真1)を既に40年以上も使用しています。この絶対観測装置は磁性のない部品で構成することが求められるため駆動部を自動化することが困難でしたが、近年、非磁性の超音波モータなどの開発が進み、自動化を実現する可能性が見えてきました。ベルギー王立気象研究所(以後RMI)が10年以上かけて開発を進めているAutoDIF(写真2)は、これまでIAGAワークショップなどでデモンストレーションを見ることはありましたが、装置の性能評価や実際の操作性などの情報を詳細に知ることはできませんでした。今回、気象庁とRMIの相互協力により、AutoDIFの試験観測を柿岡で行い、柿岡の観測値との比較から精度、長期安定性等の調査を行う機会を得て、昨年5月にRMIの開発スタッフが来所して設置し約1年間の試験観測を開始しました。偏角の測定では100m以上離れたところに設置した反射プリズムを方位の基準とし、AutoDIFから射出したレーザー光の反射光を自動で読み取る方式のため天候状態の影響を受けて観測ができない場合もありますが、絶対観測の頻度を上げることが期待できます。

今のところ観測精度は現用の絶対観測装置に及びませんが、今回の試験観測の結果を開発者へフィードバックし、協力しながら絶対観測の自動化に向けた調査を進めます。


写真1

写真1  DI-72型角度測定器


写真2

写真2  AutoDIF 検出部




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