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平成21年度地磁気観測所調査研究計画一覧


重要課題

(1)観測業務の遂行に関する調査研究の課題

ア.地磁気観測の信頼性向上のための調査(平成21〜22年度)

[担当者]:

○大和田毅、源 泰拓、澤田正弘、吉武由紀、長町信吾(観測課)、徳本哲男、大川隆志、中島新三郎(技術課)、森山多加志、西村三治(女満別観測施設)、石田憲久(鹿屋観測施設)

[概要及び具体的な達成目標]:

現行の絶対観測による結果の定量的評価の高度化、地磁気変化観測の安定化、また人工擾乱への対処法の確立により、必要精度を維持しながら絶対観測の実施間隔を見直すための調査を行う。


イ.雷雲検知のための大気電気測定装置開発及び検知方法の開発(平成21〜22年度)

[担当者]:

○源 泰拓、室松富二男、大和田毅、熊坂信之、吉武由紀、長町信吾(観測課)、大川隆志(技術課)、森永健司、生駒良友、石田憲久、有村雄一、中橋正樹(鹿屋観測施設)

[概要及び具体的な達成目標]:

 当所で蓄積してきた大気電位傾度の観測についてのノウハウを応用し、観測点の展開に使用可能な簡便な大気電気測定装置と、大気電気観測データを用いた雷ポテンシャルの解析手法を開発する。


(2)観測成果の公開に関する調査研究の課題

ア.地磁気ブロマイド記録のデジタル毎分値化に関する調査(平成20年度〜21年度)

[担当者]:

○増子徳道、芥川真由美(技術課)、池田 清、石井美樹、今村哲生、山本哲也(調査課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 当所の長年にわたる観測によって蓄積されてきたデータの多くは高品質なアナログ記録(ブロマイド)として保存されているが、当所の所有する地磁気観測データの本来の価値を示し、また広く有効利用を促進するためには、過去データをより利用しやすい形態で提供する必要がある。本調査では、過去の地磁気ブロマイド記録をデジタル毎分値に変換するための手法開発等を行う。可能であればより高時間分解能なデジタルデータへの変換を目指す。


(3)観測成果の利用に関する調査研究の課題

ア.活動的火山における地磁気・地電流観測(総合的研究)

1.雌阿寒岳における調査観測 (平成20〜22年度)

[担当者]:

○西村三治、橋本雅彦、森山多加志、有田 真、菅原政志(女満別観測施設)、増子徳道(技術課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 これまで雌阿寒岳では、1992年から山上の全磁力繰り返し観測を開始し、火口噴気温度が高温となった1999〜2000年には顕著な山体内部の熱消磁傾向を捉えることができた。また、2002年からは厳冬下でも安定した連続観測が可能な観測装置及び観測手法の構築を目的として全磁力連続観測を開始し、装置の設置改良等を行い安定したデータを取得するに至っている。
 引き続き火口噴気温度の上昇等火山現象を全磁力連続観測から時間変化として捉えることをめざす。またこれまで、山麓に設置した参照点と各繰り返し観測点との全磁力差から解析を行っていたが、参照点近辺で大規模な治水工事が行われることになり、山麓参照点で正常な観測を行うことは見込めない状況となった。このため、女満別を参照点とし繰り返し観測点との差分で火山の熱的な変化を捉えられるか検証するとともに、代替参照点の選定を行う。また連続点のテレメータ化を実施し、データをリアルタイムで取得できるよう整備する。


2.草津白根山における調査観測(平成21〜22年度)

[担当者]:

○熊坂信之、源 泰拓、長町信吾、大和田毅(観測課)

[概要及び具体的な達成目標]:

草津白根山では地下の熱的活動の推移を評価するため、全磁力繰り返し観測および連続観測を1976年から続けている。本年度も全磁力観測を継続する。 昨年度行った全磁力連続観測点データにみられる年周変化の原因究明を更に進める。また、連続観測点Qにおける2008年5月に見られた全磁力の変化(減少と回復)、2008年の繰返し観測点(No.16)の変化傾向が変わったことについて、現地での状況を調査する。 2008年から2009年にかけて草津白根山の火山活動が活発化の兆候が見られているが、現状の観測システムでは、噴火等の活動が切迫していると判断される場合でも即時的にデータが入手できない。このため、即時的データの入手の可能性を調べるため、今年度から携帯電話等を利用した遠隔データ収集の導入について、予備的な調査を開始する。


3.伊豆大島における調査観測(平成20〜22年度)

[担当者]:

○田口陽介、芥川真由美、増子徳道、清水淳平、海東恵美(技術課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 伊豆大島の三原山火山は、明治以降30〜40年間隔で中規模以上の噴火を起こしている。最近では1986年に噴火を起こしている。前回の噴火から22年が経過し、今後十年程度以降には次の噴火が起こる可能性が高いと考えられている。このため次の噴火での、火山活動に伴う地磁気変化を取得するために、現在、三原山火口縁周りで磁力計の配置が手薄になっている北側に平成19年3月に全磁力計を配置して観測を始めた。火山地帯は、一般的に溶岩等による影響で磁場傾度が大きく、地点ごとの特性が大きく異なる。火山活動に伴う地磁気変動を的確に捉えるためにも観測点の特性把握を目指す。また、連続観測点以外にも繰り返し観測も実施し、面的にも地磁気の変化を捉えることを目指す。


4.三宅島における調査観測(平成20〜22年度)

[担当者]:

○清水淳平、笹岡雅宏、大川隆志、増子徳道(技術課)、大和田毅(観測課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 三宅島は、20世紀に1940年、1962年、1983年、2000年と約20年間隔で噴火を繰り返している。三宅島における電磁気観測については、当所および東京大学地震研究所によって、1980年から全磁力繰り返し観測が行われ、1995年には全磁力連続観測を開始し、長期間にわたり地磁気観測が行われてきた。2000年噴火の4年ほど前からは、山頂南側で地下の温度上昇によるとみられる全磁力変化を捉えている。近年では、山頂南西側の村営牧場付近で、岩石の磁化を示唆する全磁力変化を観測している。2008年に観測点分布を再検討し、村営牧場付近に重点的に観測点を配置した。また、2000年の噴火以降中止していた繰り返し観測の再開のため、2008年3月と2009年3月に観測点の整備を行った。
本調査では、観測データの蓄積を行いながら、現在も継続する余効的変動や、次の噴火に先行する地磁気変化を捉え、火山活動評価に有効な情報の提供に寄与させることを目標とする。


5.阿蘇山における調査観測(平成20〜22年度)

[担当者]:

○生駒良友、石田憲久、森永健司、有村雄一、中橋正樹(鹿屋観測施設)、海東恵美(技術課)

[概要及び具体的な達成目標]:


6.吾妻山における調査観測(平成21〜22年度)

[担当者]:

○大川隆志、中島新三郎、山崎 明、田口陽介、海東恵美、芥川真由美、増子徳道、清水淳平(技術課)、大和田毅、長町信吾(観測課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 妻山の噴火活動にについて正確な記録が残っているのは1893年の一切経山(成層火山)の噴火で(最近では1977年12月に小規模な噴火)、現在はその南から東斜面に硫気地域が広く分布している。
 2008年11月に大穴火口付近で火口縁上300m以上の高さに達する噴気が発生し、それ以降現在まで、噴気活動は活発な状態が続いており、今後、さらに活動が活発化する可能性もある。
 吾妻山における電磁気観測については、仙台管区気象台火山監視・情報センターが、2003年から全磁力繰り返し観測を実施している。
 本調査では、今後、活動状況の変化に応じて実施される観測から火山活動評価を行う際に、参考となる電磁気的観測データの情報を提供可能にすることを目標とする。


イ.伊豆半島東部における地磁気全磁力及び自然電位観測(平成21〜25年度)

[担当者]:

○笹岡雅宏、芥川真由美、清水淳平、徳本哲男(技術課)、大和田毅(観測課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 これまで伊豆半島東部で実施されてきた地磁気全磁力観測では、顕著な減少を示す長期的傾向があることが示されてきたが、地殻活動との関連は不明であった。しかし最近の研究から、観測データを補正することによって、地殻活動の変動に伴う全磁力データの変化を捉えられる可能性が指摘された。そこで本課題では、伊東市御石ヶ沢付近における地磁気全磁力観測(連続及び繰り返し)を継続するとともに、データ補正手法について調査研究を進め、全磁力観測データから地殻活動の変動に伴う変化成分を評価することにより、伊豆半島東部の地震活動、地殻変動等と地磁気全磁力変化の関係を調査する。また、地下水の流動等と関係のある自然電位の観測を実施し、火山との関連を調査する。


基礎課題

ア.南極昭和基地における地磁気絶対観測の検証(平成20〜21年度)

[担当者]:

○源 泰拓、高橋幸祐(観測課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 日本南極地域観測隊によって行われた、昭和基地における地磁気絶対観測データを検証し、観測基線値に含まれる異常値を検出する手法を提案する。


イ.過去の地磁気データの品質改善に関する調査(平成21〜22年度)

[担当者]:

○外谷 健(観測課)、池田 清、今村哲生、山本哲也(調査課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 地磁気データを有効利用するには、長期にわたる信頼性の高いデータを整備する必要性がある。その観点から当所の過去データを見ると、必ずしも完全ではない期間を含んでいることが判明している。これまでの調査でデータ処理法の改善により品質向上が期待できることが分かったので、今後の調査で1920〜1940年代の地磁気データを再点検し、その結果を評価し、より信頼性の高いデータ作成を目指す。


ウ.JGRFデータを用いた日本域における地磁気変化の調査(平成21〜22年度)

[担当者]:

○石井美樹、池田 清、今村哲生、山本哲也(調査課)、石川有三(所長)

[概要及び具体的な達成目標]:

 JGRF(日本域の地磁気永年変化標準磁場)のために収集・編纂された地磁気毎分値データを利用して、近年の日本域における永年変化の特徴およびジャークの存在などについて調査する。


エ.新収録器による10Hz値の脈動観測への利用に関する調査(平成21年度)

[担当者]:

○大川隆志、海東恵美、徳本哲男(技術課)

[概要及び具体的な達成目標]:

現在、地磁気・地電流の0.1秒値観測は、アナログ信号を微分増幅器(1秒から150秒バンドパスフィルタ)で増幅し、24ビットA/Dコンバータ(入力±2.5V)を介してディジタル化して収録している。今年度整備する高感度フラックスゲート磁力計(FM)のデータ収録系は、検出器近くにFM本体と収録装置を設置し、微分増幅器を通さずに10Hzサンプリングで収録を行う計画である。この新収録装置による0.1秒値について定常業務(脈動観測)に移行できる体制を整えることを目的とする。


オ.第24太陽活動期における地磁気活動指数の顕著な低下(平成21年度)

[担当者]:

○源 泰拓(観測課)、田口陽介(技術課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 第24太陽活動期は2007年12月に開始したとアナウンスされたが、太陽活動は低調な状態が続いている。併せてK-indexが、これまでに類を見ない低下を示している。地磁気観測は太陽活動をモニターする手段として有効であることを示す


カ.南極昭和基地における大気電場観測(平成21年度)

[担当者]:

○源 泰拓(観測課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 日本南極地域観測隊第46次(2005-2006年)および第48次(2007-2008年)で取得された、昭和基地における大気電場観測データを解析する。


キ.Wavelet多重解像を用いた地磁気日変動の解析(平成21年度)

[担当者]:

○笹岡雅宏、清水淳平(技術課)

[概要及び具体的な達成目標]:

 これまでは主に統計的手法で地磁気日変動の分析が行われてきたが、急激な地磁気変化に必ずしも対応できていない。そこで、時間軸上で局所的な信号解析が可能なWavelet変換を採用することで、地磁気データを多重に解像する手法を開発し、擾乱成分と分離して地磁気日変動の成分を抽出する解析を試みる。この手法を多点観測へ適用するとともに、その有効性を評価する。


ク.十勝岳における全磁力観測(平成21年度)

[担当者]:

○西村三治、橋本雅彦、森山多加志、有田 真、菅原政志(女満別観測施設)

[概要及び具体的な達成目標]:

 十勝岳では2006年よりGPSデータから山体の膨張が確認されてきた。この膨張が噴火活動につながるものかどうかを評価し、火山体内部の熱的変動を調査するため2008年に全磁力繰り返し点を設置し、全磁力観測を実施した。


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